sin天界197先読み

魔の襲来にはこちら側の手引きが必要だった。

つまりは天界人の中に魔を引き入れている者がいるというわけだ。

司祭たちは認めないが、魔に媚びて私利私欲を得ているモノも存在するだろう。

この事は私と次席巫女長とお前しか知らない。

アトは知らないから気を付けるように。

アト様に知られるとまずいのですか?

アトは天帝よりの者だから後面倒な事になるかもしれない。

主帝の力は天界に必要な物だが、それで天帝の地位を脅かす恐れを懸念する者もいる。

そんな

ショウはそんな事考えていないわ。

それはそうだろう。

あの方は南が好きなのだから

天帝にはお子様がおられない。

という事は何かあった場合、主帝が跡を継ぐことになる。

驚いた顔。

主帝からそんな話が欠片も出ていないのだと想像がついた。

欲がないのか

それとも隠しているだけなのか?

いっそうの事そんな欲をしっかりと持ってくれれば話が早かったのに。

シェライン様?

当分、鏡の間に付くように

新たな状況の変化を読んだ場合は直接私に直接知らせなさい。

はい。

サトの顔に緊張感が走っていた。

間違いなくサトは覡だ。

そして

天帝の顔が頭に過っていた。

天空

巫女の一人が夜空を聖獣にまたがって駆け抜けようとしていた。

ジンが見た通りだった。

両手を広げて気を込める。

光り輝く天の矢はいとも簡単に現れた。

シュッ

ドスッ

まるで狩りのようだ。

聖獣から投げ出された身を軽く抱き留め女が持っていた親書を奪った。

中身を確認する。

小癪な真似を。

どこでもいい。

西か北の柱を徐に崩していく計画だ。

一番神殿に被害がなく、それでいて魔の侵入をしやすくするためだった。

壊していしまえばそうそう簡単に修復は難しい。

その為に何より邪魔なのは主帝の存在だった。

アイツの力は強大過ぎる。

まだ、天の矢を作れないうちに始末してしまうに越したことはない。

巫女の遺体を街はずれに放置するとそのまま神殿へと戻る。

ジンっ。

はい。

女の艶のない黒い髪が床を流れる。

先読みをしたのが誰だか分かったか?

おそらく巫女長でしょう。

シェラインかっ。

何処までも邪魔な女だな。

どうなさるおつもりで?

どうするも何もない。

簡単に姿を消していいわけでもない。

巫女長を消せばさすがに大司教も騒ぎ出すだろう。

とりあえずは主帝だ。

手ごわいかと。

俺が敵わないとでもいう気が?

いえですが、彼は赤い星に守られてます。

まあいい。

その赤い星自体が黒く染まれば自然に力は失われる。

今は暫し力が弱まればいい。

そう、彼には使い道がある。

今はまだ少し弱ってくれるくらいがで十分だった。

主帝

少人数で北の柱を訪れていた。

以前から小さなヒビが頻繁に入っていると報告を受けていた為だった。

東と違い不安定な北と西。

見たところ柱に問題がある様子はわからないが近くでじっくりと調べる

必要がある。

みな聖獣から降りて作業の準備にとりかかろうとしていた。

シュルシュルシュル

主帝っ!

柱に絡まっていたつるが生き物のように迫って来る。

尋常じゃない。

漂うのは魔の気配。

多数のつるが迫ってこようとしたと同時に、柱の反対側から聖獣が現れ、騎乗した兵士たちがつるを根元から切り倒していく。

迫って来ていた先の方を主帝と数人の者も剣を使って切り落としていく。

主帝っ、ご無事ですかっ?

フウマだった。

大丈夫だ。

大量のつるが生き物のように蠢いていたが、切り落とされた部位が用意された炎によって焼かれて行く。

まるで生き物ののように暴れると呻き声を発して黒く炭に帰られる。

もはやただの植物ではなかった。

フウマっ。

はい。

ここは任せた。

どちらへ?

情報が混濁している。状況の把握のために確認してくる。

お気をつけて。

現場をフウマに任せて後方に下がる。

念のため印を結んで結界を張り直しておいた。

そして

持参した袋から餌を取り出すと近付いてきた鳥に与える。

そのまま放つと、西の街中へと旅立っていった。

小さくなる姿を見つめながら、緊迫した状況を何とか改善できたことを安堵していた。

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